石田明夫の考古学から見た「会津の歴史」 
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会津のおんば様(おんばさま)

 会津若松市のお日市は毎年7月1日から、9月23日の会津まつりまで市内各地の町内で開催されます。そのトップが「おんば様」で知られる七日町長福寺(ちょうふくじ)の祭礼です。安産信仰として知られ、出店もあり賑やかです。七日町駅から徒歩5分、南東の北小路(きたこうじ)にあります。『新宮雑葉記』によると北小路は、喜多方市新宮の新宮城(しんぐうじょう)にあった城下町にあった町名で、応永27年(1420)新宮氏が葦名氏に敗れると、大町にある道場小路とともに黒川(若松)へ強制移住させられた町です。また、七日町は、七つく日に市が立ったことから付けられています。江戸時代までは北小路が主要街道でしたが、七日町の方が賑やかになりました。
 おんば様は、会津には約80ヶ所ほどあり、最も有名なのは、猪苗代町関都(せきと)のおんば様です。毎月16日が祭礼で、関都の人が交替で堂守をしています。会津坂下町福原、磐梯町大寺、喜多方市西中明、会津高田町の高田郵便局南、桧枝岐村、山都町藤沢、会津若松市大戸町大豆田(まめた)・闇川(くらがわ)などが知られています。多くが安産信仰ですが、安産以外の信仰もあります。

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小野観音(下郷町小野)
 磐梯町大寺 七日町長福寺
冬木沢八葉寺(河東町)
  大戸町闇川

 全国には、おんば様と呼ばれている仏像・神像(しんぞう)・権現(ごんげん)様があります。なかでも会津地方のおんば様は、全国的にも様々な信仰形態に分かれています。その形は、座像の老婆で、片膝を立て、手に力綱(ちからづな)を持つものが一般的で、木像と石像があります。立ち膝は、左右両方のタイプがあります。
 信仰形態は、姿が昔の出産のスタイルで、座産の姿から安産が多く信仰されています。会津若松市日新町長福寺は7月1日が祭礼で、市内のお日市のトップを切ります。安産として信仰されています。また、猪苗代町関都(関脇)、会津若松市大戸町大豆田、会津坂下町福原、磐梯町大寺などのおんば様も安産信仰で、いずれも石像です。
 会津地方には、約80のおんば様があります。
 全国的には、安産信仰は、会津地方に隣接する新潟県の一部にありますが、全国的には、山岳信仰や極楽浄土の十王(じゅうおう)思想にもとづく奪衣婆が多いようです。
 
信仰形態
1. 安産信仰 如意輪観音(にょいりんかんのん)と同じ形であり、座産の姿から安産信仰となったもの。
2. 三途の川の奪衣婆(だついば)に見立てた信仰があります。
 @飯豊山(いいでさん)や吾妻山(あづまやま)などは、女性が立ち入らないようにする「結界」を意味し三途(さんず)の川に見立てた
   役目があります。
   桧枝岐村のように、結界に見立て、「縁切り」として信仰されているものもあります。
 A河東町冬木沢では三途の川 に見立てた「極楽浄土」として信仰されています。

3.橋姫(はしひめ)神社の系統は、橋を末永く使用できるよう願う「橋守(はしもり)」の信仰があります。
  橋姫の発祥は、京都府宇治川のたもとにある橋姫神社です。
          文責(石田明夫)   
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※石田明夫著『おんば様』歴史春秋社刊(一冊税別505円)
福島県会津若松市内の書店にあります。
または、0242−26−6567 歴史春秋社まで
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