石田明夫の考古学から見た「会津の歴史」 
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会津の祭りと年中行事


                 1 会津のまつり

@「会津まつり」、昭和28年(1953)の10月に第1回目が開催されています。

A「お日市」、若松市内で行われる町内ごとのまつりです。そのトップは日新町の「おんば様」です。  会津若松市で45ヵ所実施されています。最後は9月8日の「館の薬師様」です。

B「初市」「十日市」「俵引き」、初市は、会津若松市の十日市が有名ですが、喜多方市の小荒井・猪苗代町・西会津町野沢が13日、会津坂下町と会津美里町高田が14日(現在では高田は第2土曜日です)、塩川町が15日、喜多方市小田付が17日となっていました。 会津坂下町や会津美里町高田で毎年開催される俵引きは、豊作を願う新年の祝いの行事で、『富田家年譜』によると至徳元年(1584)に葦名直盛が、黒川大町(現在の会津若松市米代一丁目・国道118付近)で住吉神社を祀り正月10日に市を開催したのが始まりで、商人司(代表・検断)の簗田氏が仕切っていました。文禄元年(1592)には、蒲生氏郷が黒川を町割りし、若松として大町も現在地へ移し、初市も大町へ移しました。その時、俵引きをして祝ったのが会津の俵引きの始まりです。俵引きは、磐梯町の舟曳き祭りが、会津の俵引きの古い形態で、それが進化したものです。会津坂下町の俵引きは初市が14日であったことから、その日に合わせ、東西に分かれ引き合って祝ったのが現在まで続いています。

C「歳の神」、「だんごさし」とともに旧暦の小正月(女の正月で、女性が休む正月)の行事。一年の厄払いや災いを塞ぐ、旧暦の大晦日の行事で本来は「塞の神」と表していましたが、今では「歳の神」と表記しています。黒い灰を、顔などに他人から塗られると、厄除けになるとされていましたが、今では会津では黒い灰は塗らなくなりました。また、男女二つ(大小)造っていましたが、今では1つだけとなっています。心棒は他の集落や神社などから御神木と称して運び出し、竹や豆殻をいれ、勢い良く音がする(どんどんと音がすることから「どんと焼き」ともいう)ようしました。実施する日は、旧暦で実施していましたが、今では新暦となり13日・14日・15日・16日に実施することが多いようです。平成19年の旧暦大晦日(12月30日)は2月17日です。
             文責 石田明夫

                 2 年中行事 

行事は旧暦や新暦に行われるものがあります。 現在も続いているもの、現在行われていないものがあります。

行事名
内   容
意    味
場所
若水汲み 新しい水を井戸や清水から汲むこと。 新しい水で延命、無病息災を願う
会津
元朝参り 氏神、鎮守、寺院に参りをすること。古くは、男が1日、女は4日に参りした。 
一年の無病息災
会津
年始参り 2日から3日にかけてあいさつ回りをする
会津
仕事初め 最初にする仕事や勉強 商売では、この日の金を一升枡(益々繁盛の意味)に入れたていた。
会津
3日とろろ ととろを食べる風習 消化と風邪を引かないよう願う。
会津
雑煮 神棚のお供えをご飯に混ぜてこの日に食べる
神様と一緒に食べることにより無病息災となる。
会津
七草 七歳児に着物を着せ、七草かゆを食べさせる。
七歳のお祝い。今ではかゆだけを食べるようになった。
会津
10 十日市 市の初め、この日にあいさつ回りに行く他に会津では12日以降それそれの町で初市の日が異なる。
親戚などへの年始のあいさつ
市内
12 小荒井市 喜多方市の初市 初市
13 猪苗代市 猪苗代町の初市 初市
14 団子さし 小正月にミズキにだんごを指す。 この木には実がならないが、こんな木にも実がなるようにと豊作を願う。
会津
15 虫よけ 団子さしの朝、団子の汁を家の周りにまく 蛇やトカゲ、ムカデなどの長い虫を屋敷内近づけないようにする。
会津
15 成木責め 果物が成る木をナタなどで傷つける 傷を付ける事により木に豊作を願う
会津
15 歳の神 「塞(さい)の神」、わらを燃やす正月送る14日から16日、地区により異なっている
無病息災、黒い灰はごやくがあると信じられていた。
会津
16 鳥追い 早朝に子どもが音をたてて鳥を追い払う 害鳥の退治
会津
17 小田付市 喜多方市の初市 初市
17 観音講 既婚者女姓が集まり飲食をする。 女性の団結と相互協力の確認
会津
次郎ぼう 二男以降のものが集まり飲食をする。 二男以下を元気付ける日
大戸
節分 豆まき。歳の数だけまめを食べる古くは、豆で豊作を占った。
無病息災。
会津
初午(うま) 稲荷神社の祭礼 豊作祈願
会津
八日講 神様が降りてくる日で餅をついて祝うこの日は仕事をしてはいけなかった
神様が降りてくる日と信じられた無病息災
会津
針供養 折れた針を豆腐に刺して供養する 8日講と同じだか、他はすたれ針供養だけが有名になった。
会津
ひなまつり 雛人形を飾る 女の子の成長をいわう。
会津
10 山神講 15日、17日もある。山神に集まる。 山の木の成長を山神に願う。
会津
27 火伏せ 神社に集まり飲食する。 火伏せ祈願
会津
17 高山まつり 見晴らしの良い高い山に集まり飲食する 木の成長祈願
会津
五月節句 節句に菖蒲湯に入る。屋根に菖蒲をさす初男子の家ではこいのぼりをたてる
成長祈願
会津
さなぶり 田植えの終了を祝う。日は異なる 稲作の豊作祈願と休養
会津
衣替え 木の皮がむける日。長いものを食べる。衣替えは、人間にたとえた。
木の生長祈願
会津
雷神様 雷神様に集まって飲食する 豊作祈願
会津
丑の日 うの付くものを食べる 滋養強壮。影響補給
会津
半月 「はんげ」という。神社に集まり飲食する 豊作祈願
会津
高野山参り 新盆の人は河東町の冬木沢に参拝する7日まで実施されている
先祖供養
会津
13 盆迎え 盆前に墓に向かえ行く。日しことなっている。背中の麦わらに祖先を移させる。
先祖供養
会津
14 お盆 地区によって異なり7日〜14日まである 先祖供養
会津
16 盆送り お供えを川に流す。茄子を馬に見立て送る所もある。 祖先供養
会津
24 地蔵盆 地蔵様のお盆。 祖先供養
会津
二百十日 厄除けの日、稲荷神社に集まり飲食する 台風避けと豊作祈願
会津
10 二百二十日 稲荷神社の祭り。 豊作祈願
会津
19 九月節句 9日、19日、29日を秋の節句という。とくに19日前後に秋祭りとするのが多い
豊作祈願
会津
10 10 大根の節句 大根や葉物を取ってはならない日 豊作祈願
会津
20 恵比寿講 神棚へおこわや餅を供える。 豊作祝いと商売繁盛の祝い
会津
11
秋の八日講 2月8日春の講に対し、秋に行われるもの 無病息災
会津
14 太子講 聖徳太子の祭り。 豊作祝い
会津
15 油しめ 菜種油を絞るのが、作物の最後の仕事で、仕事終りを祝う
豊作祝い
会津
12
かびたれ餅 水神様のまつり。粉餅をつく 水神様への豊作御礼
会津
師走の八日 神様へ餅をついて供える 神様が天に帰る日、2月8日の反対
会津
27 すすはき 27日までに神棚お仏壇の掃除をする 歳迎え
会津
27 松迎え この日までに正月用具をそろえる 歳迎え
会津
28 餅つき 餅をついて飾る。29日は苦(9)があるので餅はつかない
歳迎え
会津
31 歳とり 神棚や仏壇にお供えし新年を迎える。12個の飾り餅や握り飯を供え、稲穂をそなえた。3つ重ねもちを供える

歳迎え、厄払い
会津


                       
3 村のまつり
永和地区
@永和地区とは、私が住んでいる会津若松市街地の北側、会津若松インター付近です。
 その地区は、水田地帯で、最も知られているのは、「木流の馬頭観音の祭り」です。
 毎年1月17日が本祭りで、4月8日のお釈迦様の誕生日にも開催していました。
 冬は、雪が多いので、春の祭りのほうが盛大でした。祭りは3日間開催され、磐越西線の列車が開通して間もなくの明治40年以降、臨時停車するほど賑やかでした。河東町の十文字に無人駅がありますが、当初は木流に造る予定でしたが、駅を造る土地を確保できなかった事から造られませんでした。歴代の藩主もこの祭りに来ています。それだけ盛大でした。
A永和地区の年中行事のなかで、最も知られていたのは「木流の彼岸獅子」です。
  会津の彼岸獅子の発祥は、喜多方の関柴、やや遅れて木流です。栃木県の佐野から江戸時代初  めの1640年頃伝わりました。木流は寛永5年(1682)から、下荒久田や屋敷、院内、河東町の大和  田、槻木へ伝わりました。
B「いなほ祭」は、秋の収穫祭です。春に運動会、秋には学芸会があり、大きな行事でしたが、時代とともに変化しています。とくに小学校から中学校が分離してから、「稲穂祭」と名づけられて現在まで続いています。
大戸地区
大戸地区とは、会津若松市の南側、芦牧温泉のある山間部です。
ここに上げたのは、現在すべてが実施されているわけではありません。実施されないものもあります。
大豆田のおんば様 3月15日
 大豆田集落の南、闇川橋鉄橋近くの水田がある南西部、林の中にある。おんば様は、安産として信仰されている神様。そして、橋を洪水や災害から守る神様。石像と木造のおばあちゃんの姿をした像があります。
大戸岳の山開き 6月の第2日曜日
 稲作の神様を祭る大戸岳のお祭り。大戸地区の各地区代表が山に登り、豊作を祈るもの。
芦ノ牧の温泉神社と鎮守、水神様の祭礼 8月1日
 温泉の神様と稲作の神様、水神を祭る祭礼。昔は、この日に合わせ、花火大会がありました。
闇川の山神社の祭礼 9月1日
 山の神を祭る祭礼。
闇川飯豊山の祭礼 9月第2日曜日(もとは9月8日)
 闇川の入小屋より奥に、飯豊山があります。山都の飯豊山神社は、元、ここにありました。稲作の神様を祭る神社へお参りす
る祭り。村の代表が神社へお参りします。
下雨屋の四つ児参り 9月14日
 下雨屋の東の平成18年に、新たに建て直された薬師堂の祭礼。会津五薬師の一つ、下雨屋の薬師堂の祭礼。4歳になった子どもの成長を祈るもの。
上三寄と宮内の祭礼 9月15日
 大戸地区代表する祭り。この日は、宮内の蔵王権現を祭る金峰神社の豊作祈願の神社の祭礼。その日に合わせ、上三寄の南原、香塩、大豆田では、山車を国道に繰り出してみんなで引きます。100日以内に不幸があった場合は、その地区は山車を出しません。
地蔵様の祭礼 8月23日
 闇川の地蔵様の祭礼。子ども成長を祈ったもの。
闇川大宮神社の祭礼 9月19日
 闇川の鎮守の祭礼。闇川は高地のため柿が出来なかった。昔は、柿がごちそうで、柿を景品に相撲をしていたことから、柿相撲が奉納されます。土俵が今でもあります。
芦ノ牧の山神社の祭礼 10月12日
 山の神様を祭る祭礼。

  民俗と祭礼の紹介
  会津若松のお日市
  会津のおんば様(おんばさま)  大戸町や七日町のおんば様
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